第203章 時夜のことはどうでもいいのか?

「いいわ」

 秋月雫はベッドの傍らに歩み寄り、椅子に腰を下ろした。

 彼女がここへ来た理由はただ一つ。かつて緒方ハルがなぜ自分を捨てたのか、その理由を知るためだ。

 そしてその真実は、当事者である二人以外には聞かせられない類のものだった。

 緒方ハルはベッドの背もたれに体を預け、潤んだ瞳で雫を見つめる。

「似ているわ。雫、あなたは私の若い頃に生き写しよ。だから初めて会った時、あれほど懐かしさを覚えたのね。でも、まさか……こうして再びあなたに会えるなんて思ってもみなかった……」

 言葉と共に涙がこぼれ落ち、残酷で、あまりに生々しい真実が語られ始めた。

 緒方ハルの実家は、いわゆる...

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