第298章 それがお姉様だ

 午後五時。研究室から出てきた秋月雫の目に、車に寄りかかる九条時夜の姿が飛び込んできた。

 彼もとうに彼女に気づいていたようで、足早に歩み寄ってくる。

「迎えに来た」

 雫は片眉をぴくりと上げた。

「少し遅すぎると思わない?」

 九条時夜の瞳に一瞬だけ暗い色がよぎったが、すぐにまたいつもの表情に戻った。

「過ぎたことは変えられない。なら、償いを始めるのに最適なのは今だ」

 償い?

 この三年間で受けた冷遇や、白川ゆらのために彼から見捨てられた数え切れないほどの記憶が脳裏をよぎり、雫の瞳に複雑な感情が渦巻く。

 やがて、彼女は淡々と尋ねた。

「九条時夜、ずっと聞きたかったん...

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