第38章 あなたたち以上に失敗した結婚はあるのか?

秋月雫は、夏目唯の辛辣さにはもう慣れっこだった。

 だが、これほどの悪意を向けられるのは初めてで、さすがに認識を改めざるを得ず、顔色を変えるのを抑えきれなかった。

 夏目唯の表情が、瞬時にして九条家の奥様としての寛大さと慈悲深さを湛えたものへと一変する。

「時夜のそばにいたいなら、顔を洗って大人しく食事の支度でもなさい。さもなくば……」

 秋月雫は無表情のままドアを閉めた。

 しかし、扉が閉ざされた瞬間、全身の力が抜け、その場に崩れ落ちるように座り込んだ。

 言葉は汚く、鋭利な刃物のようだったが、あいにくとその一言一句が真実だったのだ。

 名門に嫁いだ彼女は、何の恩恵も受けてい...

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