第46章 赤ちゃんが欲しい

「何をする気?」

 秋月雫は急激に喉が渇くのを覚えた。細い指先で、男の胸板を押し返す。

 九条時夜は鼻で笑った。その漆黒の瞳には、明らかな欲情の色が滲んでいる。

「わからないとでも?」

 彼女を抱き寄せる腕の力が、さらに強まった。

 密着した身体を通して、彼自身の身体的な変化が露骨に伝わってくる。

 雫の端整な顔に驚愕が浮かんだ。脳裏をよぎったのは、休憩室に残されていた乱れたシーツの皺だ。

 ついさっき別の女と情事に及んでおきながら、今度は彼女を抱くつもりなのか?

 布切れ二枚を纏っただけの姿で彼の胸に飛び込んだと誹りを受けたとしても、彼女にだって節操というものはある。

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