第81章 私と彼は……もう兄妹には戻れない

秋月雫と如月海が病院を後にしようとしたその時、九条時夜と鉢合わせになった。

「まさかここまでとはな。お前の周りには、随分と男が湧いてくるらしい」

 彼の体にはいくつもの傷があり、胸の内で燻っていた怒りが再燃しているようだった。そこに秋月雫と如月海が一緒にいる姿を見れば、皮肉の一つも言いたくなるのだろう。

 まさに、悪縁と言うべきか。

 そうとしか思えなかった。

 会いたくない人間に限って、どこへ行っても出くわしてしまう。

 三年間の結婚生活では、どれほど彼との偶然の出会いを渇望しても叶わなかったというのに。

 神様は、なんとたちの悪い冗談を好むのだろう。

「九条社長。そのお怪...

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