第85章 私と彼のこと、他人には関係ない

通話を切ると、九条時夜はデスクの上に置かれた結婚指輪を睨みつけた。

 秋月雫が捨てたものだ。その瞳の冷たさが、一層強まる。

 よくもまあ、結婚指輪を捨てられたものだ。

 あれはデザイナーと綿密に打ち合わせし、自らデザインにも関わった特注品だというのに。

 それを彼女は躊躇いもなく外し、池に投げ捨てたのだ。

 くそっ!

 離婚だと? 俺が死なない限りあり得ない。

 九条家の祖母、九条おばあ様は、電話が切れた音を聞きながら眉をひそめた。

 九条時夜は彼女が手塩にかけて育てた孫だ。祖母には、彼が必死に怒りを抑え込んでいることが分かった。

 会社を継いでからというもの、これほど感情...

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