第120章

バタン。

病室のドアが再び閉ざされた。

ベッドに横たわる拓海は、ひどく拗ねていた。

病気で腹も減っているというのに、母も、兄も帰ってしまった。

まるで世界中から見捨てられたような気分だ。

以前なら誰よりも自分の世話を焼いていたあの女まで、今は見向きもしない。

本当に冷酷な女だ。自分が病気だと知っていながら、飯を届けるどころか、わざわざ他人のところへ薬膳粥を持っていくなんて。

腹が立って仕方ない。

胃の焼けるような痛みをこらえながら、スマホを手に取り電話をかけた。

繋がった瞬間、怒りに任せて怒鳴りつける。

「晴美、お前何考えてんだよ!小賢しい真似したって、兄貴が振り向くわけ...

ログインして続きを読む