第59章

室内には異様な静寂が落ちていた。

晴美は目の前にいる男をまじまじと見つめた。

ふと、見知らぬ他人のように感じられた。

まるで、今まで彼のことなど少しも知らなかったかのように。

彼女の記憶にある悠は、どんなに生活が苦しく、過酷な日々を送っていても、決して熱い心を失わない男だった。

何事にも真面目で、実直に働き、小細工など絶対にしない。

だが、今の彼はいったい何をしているというのか。

企業が真っ当にAI研究を進めている限り、新たな法規制など恐れる必要はないはずだ。

重苦しい時間が流れるにつれ、悠の瞳に浮かぶ苛立ちは色濃くなっていく。

「どうしても力になってくれないのか? 冷たす...

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