第12話

漆黒の車が、雨の夜を切り裂くように走っていた。

悠はルームミラーに視線を走らせた。後部座席には葵が横たわり、その口元の血痕はすでに黒く乾ききっている。

「もっと飛ばせ」

悠は運転手に短く命じた。

三十分後、車は城南エリアにある私立病院の前に滑り込んだ。ここはMの傘下にある医療機関だ。

エントランスでは医療チームがすでに待機していた。ストレッチャーが素早く運び出され、葵はそのまま救急救命室へと運び込まれていく。

救急室の扉の外に立ち、悠はスマートフォンを取り出して暗号化されたメッセージを送信した。

『ボスは病院へ搬送完了。当初の計画通り、藤原グループに対する資金封鎖を発動せよ』

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