第17話

地下一階でエレベーターの扉が開き、葵が三歩踏み出したところで、ポケットの中のスマホが震えた。

画面を見ると悠からの着信で、葵はすぐに応答した。

「社長、シンガポール・オフショア法人の株式譲渡書類はすべて捺印が完了しました。商業登記の変更受付票も明日の朝には届きます。ただ、自由貿易区エキシビションセンターの来月8日の枠が、すでに別件で押さえられていまして」

葵は駐車場の柱のそばで足を止めた。

「誰が押さえたの」

「藤原グループだそうです。あちらも資金調達のロードショーを準備しているらしく、見事に予定が被りました」

葵は2秒ほど沈黙した。

「なら、1日前倒しする。全プロセスを圧縮し...

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