第18話

彼女が言い終えても、電話の向こうはしばらく沈黙が続いた。葵はさらに言葉を継ぐ。

「表立って何かをしていただきたいわけではありません。ただ、名前が一つ欲しいだけです」

相手はまた数秒黙り込み、ようやく口を開いた。

「藤原グループ社長室の補佐で、小林という者です」

葵はその情報を記憶に留めた。

「ありがとうございます、吉田さん。九条さんとの会食はそちらで時間を決めてください。その時は私がご馳走しますから」

通話を終え、執務室に戻った彼女は悠に暗号化メッセージを送った。

『データを照会したのは和也の補佐で、小林という人間。放置していいけれど、今からNexusの対外的なビジネス交渉はす...

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