第43章

葵は引き出しの縁で一秒だけ指を止め、再びそれを引き開けた。

視線の先にあるのは、薬瓶の隣に置かれた未開封の箱。六十錠入りの鉄剤だ。昨日の午後、受付の周に頼んで買ってきてもらったものだった。

誰に飲ませるのかと周に尋ねられ、友人が貧血気味なのだと誤魔化した。

それ以上、深く追求されることはなかった。

葵は鉄剤の箱を取り出し、封を切ってアルミシートを引き抜いた。指で押し出し、二粒を掌に転がす。暗赤色の小さな錠剤は、表面が糖衣でコーティングされていた。

薬を口に含み、机に残っていたグラス半分のぬるま湯で流し込む。湯の温度で糖衣がわずかに溶け出し、鉄剤特有の微かな渋みが舌の付け根から喉の奥...

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