第51章

葵はスマホを手に持ち、音声をもう一度再生した。

女の声は極端に低く抑えられ、音声加工まで施されている。

語尾のイントネーションは平坦にされ、声質も太く潰されていた。

だが、人の話し方の癖というものは、そう簡単に変えられるものではない。

間の取り方、発音の強弱、そして『和也』と呼ぶ時の、無意識に甘えるような響き。

それらすべてが一本の糸となり、ある特定の人物へと繋がっていく。

春は奥歯を噛み締めた。

「寧々だ」

葵は視線を上げて彼を見た。

「まだ断定はできない」

葵の声は淡々としていた。

「それに、この音声をあえて残したということは、私が寧々を疑うことなど恐れていないとい...

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