第55章

観察室は三秒ほど静まり返った。モニターには、その文字列がまだ光を放っている。

【Device_Name・MS-iPhone。最終受取人・悟】

春は葵を見た。彼女の顔色に変化はない。ただ、ノートパソコンの縁に添えられた指先が、ゆっくりと丸まっただけだ。

「葵」春が低い声で口を開く。「ただの同名デバイスかもしれない」

葵は画面をスクロールし、Bluetoothのハンドシェイク・ログを呼び出した。デバイスのMACアドレス――

「同名じゃないわ」

春は目を閉じた。無性に誰かを殴り飛ばしたくなる。この世界の連中は、どうして誰も彼もが彼女を傷つけようとするのか。

葵は悠にメッセージを送った...

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