第26話

正午頃、携帯が震えた。

祖母の声は続いた。「白石、青津から羊が届いたよ。夕食においで。寒いから銀生姜入りの羊鍋を作った。あなたの好物。国境で戦っていようと研究に埋もれていようと、ちゃんと食べてないんだろう。いつも大輝や子どもたちのことばかり考えて。でも自分のことも愛さなきゃ。」

私は電話口で微笑み、胸に温もりが広がった。「仕事が終わったら行くわ。」

ログアウトの準備をしていたとき、大輝側のベータ―伝一がドアをノックした。「緊急書類だ。アルファが直接あなたに渡せと言った。」

私は目を通した。定期再検査の書類。緊急性など何もなかった。

かつての私は笑顔で受け取り、冷たいベータたちの好意を...

ログインして続きを読む