第13章

 私は一瞬、言葉を失った。戸惑って、思わず「え……?」と声が漏れる。

 すると森原覚が、さらにぶっきらぼうに言った。

「白原さんが朝食だって呼んでただろ。わざわざ迎えに来てもらわないと動けないのか?」

 明らかに機嫌の悪い口調に、私は慌てて彼のあとを追った。

 ちょうどそのとき、ふわりと風が吹いた。きちんと整えていた長い髪がさらりと乱れ、首筋に残っていたくっきりしたキスマークが、隠しようもなく露わになる。

 そして、それは振り返った空野朱音の目にも、はっきり映った。

 ――次の瞬間。

 彼女の目の奥に、私を八つ裂きにしてやりたいとでも言うような、どす黒い怒りが燃え上がるのが見え...

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