第19章

 宮沢詩音は、俺の唐突な衝動にすっかり怯えていた。

 とくに胸元の痛みが堪えたのだろう。彼女の顔色が、さっと変わる。

 痛ければいい。痛めば、思い出すはずだ。貞節という言葉が、この世にちゃんとあることを。

 契約結婚をして3年。

 こんなふうに理性を失った俺を、詩音は一度も見たことがなかったはずだ。

 彼女は小さな拳を握りしめ、何度も俺の体を叩いてきた。

 けれど頭に血が上った俺は、その拒絶をまるで意に介さない。

 力任せに彼女の胸へ口づけ、着ているものを1枚ずつ剥ぎ取っていく。

 正直、自分でもわかっていた。これは欲情だけじゃない。苛立ちをぶつけるための行為でもあった。

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