第41章

「さっき、あの二人がこっちへ来るのを見たんだけどねえ。ずいぶん楽しそうに笑い合ってて、仲も悪くなさそうだったよ。森原お婆さん……この子たちのこと、少し話さない?」

 空野朱音が、私と彼女の婚約の席で逃げた一件があって以来、お婆さんは朱音に強い苦手意識を持っている。この数年、朱音への当たりはずっと冷たかった。

 その空野のお婆さんが、私と朱音の話題を出した瞬間――お婆さんの表情が、すっと硬くなる。

「二人のことって、何を言ってるんだい」

 空野のお婆さんは愛想笑いを貼りつけたまま、声を弾ませた。

「そりゃあ、結婚のことさ。実はね、私はずっと思ってるんだよ。空野家と森原家は、やっぱり縁...

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