第49章

 空野朱音を言い負かしたあと、私は車のドアを開け、そのまま乗り込んだ。すぐに運転手へ出発するよう告げる。

 窓越しに見えたのは、怒りで顔を引きつらせた空野朱音の顔だった。あれを見た瞬間、不思議なくらい気分が軽くなる。

 やっぱり、自分が少しでも楽に生きたかったら、こっちを苛立たせる相手のほうを先に発狂させてしまうに限る。そんなものだ。この世界、誰が好きこのんで他人を甘やかすものか。

 森原家の運転手には、そのまま私の小さなデザイン会社まで送ってもらった。

 葦原弘岡の一件以来、家のことでごたごたが続いていて、会社の様子を見に来る時間がなかなか取れなかった。

 とはいえ、小村は信頼で...

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