第51章

 私の話を聞いた瞬間、若様の表情がぴんと強張った。

 再びスマホを取り出し、若奥様へ電話をかける。――だが、返ってきたのは相変わらず、ひやりとした無機質な女性音声だけだった。

 若様は目に見えて焦り始めていた。

 使用人が白湯を運んでくると、若様はそれをひったくるように受け取り、ぐいっと二口、喉へ流し込んだ。

 以前から屋敷の者たちは、若様と若奥様のことを陰でいろいろ噂していた。

 若様が若奥様と結婚したのは、すべて奥様からの圧力のせいで、仕方なく娶っただけ。

 本当は、若奥様を愛してなどいないのだと。

 それに、空野さんが戻ってきた以上、若様があれほど空野さんに執着しているの...

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