第百八章

マッテオはセーフハウスのキッチンテーブルで、ノートパソコンを開いて座っていた。キーボードの両脇に手を置き、廊下の何もない一点をじっと見つめている。ふと、右手の甲にちりちりとした痛みを感じた。視線を落とすと、吸っていた煙草の火が指を焼いていた。彼は手をひるがえし、他の吸い殻が山になっている灰皿にそれを押しつけた。身を乗り出して両手で髪をかきむしると、意思に反して口が大きく開き、体全体が揺れるほどのあくびが出た。髪をくしゃくしゃとかき混ぜ、ノートパソコンのマウスをタップしてスリープを解除する。人間もこれくらい簡単に覚醒できればいいものを。

傍らの携帯が光った。開くと、誰かがドアの前にいるのが映っ...

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