チャプター 112

エルの視点

午後の日差しが、まるで溶けた黄金のように肌に感じられた。私は母の向かいに座り、純粋な満足感で輝く母の顔を見つめていた。私たちはテラスに絶好の場所を見つけていた。そこは花の咲くつる植物に囲まれ、噴水の優しい音色が響いていた。

「こんな場所が存在するなんて、想像もしなかったわ」

マッサージ師がその肩に魔法をかけている間、母は目を閉じたままそう囁いた。熟練した手つきが長年の緊張と苦労を揉みほぐしていくにつれ、母の表情からストレスが溶け出していくのが、ありありと見て取れた。

私は微笑まずにはいられなかった。「お母さんには、これくらい受ける資格があるのよ。もっと贅沢したっていいくらい...

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