第十四章

ブラッド視点

駐機場を横切り、こちらに向かって大股で歩いてくる見慣れた人影を捉えた。ロイ・ベイリーはいつもと寸分違わぬ姿だった――陽光を浴びて輝く栗色の巻き毛、広い肩幅、そしてアルファとしての自信を雄弁に物語る、あの紛れもない堂々とした態度。

「ブラッド、この最高な野郎が!」ロイの声が俺たちの間の空間に轟いた。俺は熊のような力で抱きしめられた。

ロイがエルの方を向いた時、彼がわずかにためらうのを俺は見た。俺の匂いに混じった彼女の人間の香りを嗅ぎ取り、鼻がひくついた。視線は一瞬、彼女の膨らんだ腹へと落ちる。人間のメイト、妊娠中、明らかに予想外の事態――頭の中で思考が高速で回転しているのが見...

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