第117章

ブラッドの記憶

ミラ・コリンズは息を呑むほど美しかった。まさに絶世の美女だった。その美貌はフロストクロウ・パックの間では伝説的で、成熟したアルファたちですら言葉に詰まり、格下の狼たちは畏敬の念に打たれて頭を垂れるほどだった。

俺が二十二歳の時、エリザベスは俺をカナダ国境に送り、フロストクロウ・パックと共に訓練させ、アルファの後継者たるものがどういうものかを学ばせた。そこで俺は十八歳のミラに出会った――誇り高く、ゴージャスで、抗いがたいほどに魅力的だった。

恋愛に関してはまったくの未経験者だった俺にとって、ミラはあらゆる「初めて」の相手だった。初めての片想い、初めての恋、そして、いずれ訪れ...

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