チャプター 17

エル視点

息ができなかった。ジェイソンの目が、開かれたブリーフケースに詰まった札束を見て、露骨な欲望にぎらついている。迫りくる苦痛から逃げ出そうとするかのように、心臓が肋骨を激しく叩いていた。

数メートル離れた場所に立つブラッドは、すでに獲物が罠にかかったことを知る捕食者のような、計算高い忍耐強さでジェイソンを見つめていた。

「ジェイソン」私は彼の腕を掴んだ。懇願する声が震える。「行こう! あんなお金、いらないわ。一緒にここから逃げましょう、今すぐに」

涙で視界が歪み、周囲の景色が滲んでいく。このドレス――私が一度も望んだことのない式のための、馬鹿げたほど豪華なガウン――が、彼にすがり...

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