チャプター 218

エル視点

巨大なクリスタルのシャンデリアの下、ダンスホールはきらびやかに輝いていた。ブラッドの隣に立つ私の動きを、そこにいる誰もが一挙手一投足見つめているのを感じる。レイン家の公式行事で、彼の番(つがい)として初めて公の場に姿を現したのだ。その責任の重さが、分厚いマントのように私の肩にのしかかってくる。

私たちがどこへ移動しても、ひそひそ話がついて回った。優雅に着飾った狼たちの会話の断片が耳に入る。

「あれがブラッドの後継者を身ごもっている人間……」

「五パーセントの株主ですって、信じられる?」

「エリザベス様もどうかしているわ……」

私はその間ずっと、微笑みを絶やさなかった。

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