チャプター 238

エル視点

家は空っぽだった。完全に、空っぽ。

「ママ?」

静寂に私の声が響く。キッチンへ、それからバスルームへと駆け込み、全ての部屋を確認する。何もない。彼女はいなくなってしまった。

パニックが胸を締め付け、震える指で携帯電話をまさぐり、スーザンの番号にかける。応答した自動音声に、血の気が引いた。「おかけになった電話は、現在電源が入っておりません」

『一体どうして、こんな風に人が消えたりするの?』私の心は混乱していた。『ついさっきまで、一緒にランチをしながら笑ったり話したりしてたのに。どうして急にいなくなるの? どうして電話の電源を切ったりするの?』

私はくるりと振り返る。心臓が肋...

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