チャプター 275

ブラッド視点

俺はエルの寝顔から無理やり目を逸らし、必要以上に強くハンドルを握りしめた。クソッ、これ以上見つめていたら、車の中で彼女を抱いてしまいそうだ。

俺はシートの位置を直して彼女との距離を少し広げると、携帯を確認した。十分ほど前、アレックスから「ミラが向かっている」とメールが入っていた。

定刻通り、傷一つない純白の高級セダンがリゾートのゲート前に到着した。ミラだ。

ゲートの警備員たちは質問もせずに彼女を通した。俺はエルを起こさないよう、静かに滑らかにエンジンをかけた。アルファとしての追跡本能が自動的に働き、ミラの車がリゾートの敷地内に入るのを、絶妙な距離を保ちながら追尾した。

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