チャプター 48

エル視点

私が返事をするより早く、氷のように冷たいブラッドの声が部屋を切り裂いた。「その必要はない!」

議論の余地を一切与えない、決定的な口調だった。ブラッドは私に一瞥もくれず、ドアへと向かう。

「エルには休息が必要だ」と彼は冷たく言い放った。

アレックスが頷いて部屋を出ていくと、ふと、あることが頭に浮かんだ。レイモンド・カーター。その名前には不気味なほど聞き覚えがあり、記憶の断片が蘇った――私の車に追突し、私をダコタという誰かと間違えた男だ。

ブラッドが去った後、私は枕に身を沈めると、奇妙な安堵感に包まれた。

まあいい。どのみち、あんな向こう見ずなろくでなしどもに会いたいわけじゃ...

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