第五十四章

エル視点

ブラッドの琥珀色の瞳が危険な光を帯びて細められると、私の心臓は肋骨を叩くように激しく脈打った。その場の空気は、息をするのもやっとというほど重苦しく張り詰めていた。

まともな言葉を返す間もなく、ブラッドは突然手を伸ばし、私が思わず顔をしかめるほどの力で肩を掴んだ。

「ブラッド、痛い!」私はあえぐように言ったが、彼の耳には届いていないようだった。

彼の琥珀色の瞳には、今まで見たことのない何かが閃いていた――肌が粟立つような、抑えきれない怒りだ。警告もなく、彼の指が私の唇を乱暴に払い、何かを消し去ろうとするかのように口の端を強く拭った。

予期せぬ感触に私は驚き、とっさに彼の手を強...

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