チャプター 62

エル視点

デスクに山と積まれた書類を前に、私は完全に途方に暮れていた。午前中ずっとスプレッドシートを睨みつけていたせいで目は焼けるように痛む。コーヒーカップに手を伸ばすが、またしても空っぽだった。

「一体どうしてこんな羽目に……」私はこめかみをもみながら、誰にともなく呟いた。

今や私は、カーター・グループとの大型商談の資料準備を任されている。あまりに突然の辞令で、追いつくのに必死だった。

この仕事を引き受けてからというもの、私はがむしゃらに勉強を続けてきた。恥をかきたくない一心で、本まで借りてきたのだ。しかし、読めば読むほど、自分の準備不足を思い知らされるばかりだった。

「エル、予備...

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