チャプター 73

ブラッド視点

「エル、俺は……」

彼女の左右で色の違う瞳を見つめると、言葉が喉に詰まった。何週間も抑え込んできた言葉が、今にも胸を突き破って飛び出しそうだった。

頭の中の声が、ほとんど絶叫していた。『言え。好きだと言ってしまえ!』

その感情の激しさに、俺は不意を突かれた。この俺、ブラッド・レインが、自分の考えを口にするのに苦労したことなど一度もなかったのに。それなのに今、俺は凍りついている。さっきまで涙が伝っていた彼女の頬を、親指でまだ優しく撫でながら。

エルは俺を見つめ返した。その表情には困惑と、それから何か――温かい何かが、ちらついている。「ブラッド? どうしたの?」彼女が優しく尋ね...

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