第28話

エラ

シンクレアの足音が五時過ぎに階段を上がってくるのが聞こえ、彼が最も早く退社できるタイミングで職場を離れたのだと気づく。別に文句はない。警察から電話があって以来、マイクのことについて彼に尋ねたくてうずうずしていた。そして信じられないことに、離れている時間が長くなるほど彼が恋しくなっている自分に気づく。これは自分自身の気持ちというより、子犬が父親の近くにいたいという本能なのだろう。一緒にいると大抵は緊張したり落ち着かなかったりするのだから。唯一の例外は、寝る時に彼の部屋に行くときだ。彼が一緒に寝ることを主張して以来、悪夢を一度も見ていないし、毎晩彼の強い腕の中で眠りにつくのが楽しみになって...

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