第83話

シンクレア

夜になってから家に帰ると、鼻で導かれるようにエラの部屋へと階段を上る。入室した時、彼女はちょうどシャワーから出てきたところで、滴る体をふわふわのタオルで包んでいた。バラ金色の髪はまだ乾いていて、頭の上に束ねられ、箸のようなものでしっかりと留められていた。

彼女はベッドに座っている私を見て少し驚いた様子で、目を転がすようにして息を吐いた。「幽霊みたいに静かに動くなら、せめて部屋に入る時に声をかけてくれない？ドミニク？」

私は静かに笑い、彼女の濡れた肌に視線を這わせる。「それが白馬の騎士への挨拶かい？」

エラは緊張した好奇心を隠す前に一歩前に出る。「何があったの？」

「挨拶のキ...