チャプター 52

ティファニー視点

私はまるで自分の店であるかのようにエクリプティカ・ジュエルズに足を踏み入れた。ブランド物のヒールが大理石の床にコツコツと音を立てる。

『フレイヤが接触する価値があると思った相手なら、ちょろいものでしょう』シルクのブラウスを整えながら、私は考えた。『私はアレクサンダーの婚約者。その名前で開かない扉はないわ』

受付エリアの両脇には屈強な警備員が二人。狼の感覚でこちらを値踏みしているのがわかる。

「ごきげんよう」私は使い慣れた権威をにじませて告げた。「クラウン&ジェムのティファニー・オースティンと申します。提携のお話に参りました」

受付係はろくに顔も上げない。「アポイント...

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