チャプター 7
ティファニー視点
昼食の後も、胸のざわめきが収まらなかった。今朝のフレイヤとアレクサンダーの会話が、後味悪く心に残っていたのだ。あれこれ考えた末、母に相談することにした。
念話で、この二日間に起きた出来事をかいつまんで話す。向こう側から、長い沈黙が返ってきた。
「心配することはないわ。群れから追放されたような者に、何を恐れることがあるの?落ち着きなさい――焦るべきなのはあの子の方よ。それより、アレクサンダーを確実に手に入れることに集中しなさい。たとえ後で事が明るみに出たとしても、彼があなたを責めるっていうの?」
「ママ、彼に何か盛った方がいいかしら?」
「言わなくてもわかるでしょう。いいこと、人狼用の幻覚作用のある薬草を使いなさい。量をケチってはだめよ。力のあるアルファは、そう簡単には落ちないから」
母の言葉に神経が落ち着き、今夜の計画への期待で興奮が体を駆け巡った。
私はオフィスを出て、近くの住宅街へと車を走らせた。
ドアが開くと同時に、人影が飛び出してきて、私をきつく抱きしめた。
「ダーリン、やっと会いに来てくれたんだね。すごく会いたかったよ」
今日は機嫌が良かったので、いつものように突き放す代わりに、愛情を込めるふりをして彼の髪をくしゃっと撫でてやる。「こうして来たじゃない」
ジャックは荒い息遣いになりながら私を抱き上げると、背後でドアを閉めた。
私は抵抗せず、慣れ親しんだ親密さで彼に抱きしめられるままになった。
ジャックは私をソファに下ろす。午後の暖かい日差しが、私たちを金色の光で包んでいた。
彼の目は、トップスの胸元から覗く谷間を貪るように見つめている。
そして彼は飛びかかってきた。意図的に胸を私の乳房に押し付け、硬くなったそこをスカートを押し分けて太ももの間にねじ込んでくる。
服を脱がす手間さえ惜しむほど、彼は私に飢えていた。
私はとても気分が良かったので、それに付き合ってやり、何度か体位も変えてあげた。
何しろ、今夜は愛するアレックスを喜ばせるのだ。練習しておかないわけにはいかないだろう?
一枚、また一枚と服を脱いでいくと、思わず漏れる私の喘ぎ声がジャックの荒い息遣いと混じり合った。
その行為がジャックを夢中にさせ、さらに激しく私を求めるように駆り立てた。
三十分後、私たちは二人とも息を切らし、ソファにぐったりと寄りかかっていた。
ジャックが腕を回してくる。「ベイビー、今日はなんだかやけに甘い気がするんだけど、何かあったのかい?」
私は彼の胸に身を寄せ、軽い声で答える。「別に。ただ会いたかっただけよ。ああ、それと、あの幻覚作用のある薬草を手に入れてほしいの。人狼を発情させるやつ。使い道があるのよ」
ジャックは嫉妬に顔を曇らせた。「誰に使うんだ?まさか、あのアルファじゃ……」
彼が言い終わる前に、私は力いっぱい彼の顔を平手打ちした。私の力だ、彼の頬は瞬時に赤く腫れ上がった。
私は身を起こして体を拭い、氷のように冷たい声で言い放つ。「あんたはただの私の玩具よ。群れにさえ属していないくせに」
ジャックの顔が歪む。その瞳には、苦痛と欲望が入り混じっていた。彼が哀れなほど私に心酔していることは、お互いわかっている。「ベイビー、君のためなら何でもするって知ってるだろ。俺ほど君を愛してる奴はいない」
私はほくそ笑むと、彼の顔を足で踏みつけ、露わになった私の体に無理やり視線を向けさせた。
「その忠誠心があるからこそ、数年前のあの後もあんたがまだ息をしていられるのよ。従順でいる限りは役に立つわ。私をがっかりさせないで」
それだけ言うと、私は彼をまたいでバスルームに向かった。今夜アレクサンダーに会う前に、彼の匂いの痕跡をすべて洗い流す必要があった。
シャワーから出ると、薬草はすでにテーブルの上に置かれていたが、ジャックの姿はどこにもなかった。
きっと嫉妬に駆られて、どこか別の部屋で拗ねているのだろう。どうでもいい。私は薬草をポケットに入れると、その場を後にした。
オフィスに戻ると、私はすぐにアレクサンダーのためにコーヒーを淹れた。
私が到着すると、ケイリブはちょうど帰るところだった。彼は私に丁寧な挨拶をしてから出て行った。
「アレックス、お疲れでしょう。コーヒーを淹れておいたわ」と、私は甘い声で言った。
アレクサンダーの前にカップを置き、彼がそれに手を伸ばすのを見て、私は息を呑んだ。彼が一口飲もうとしたまさにその瞬間、動きを止めてカップを下に置いた。「グラマー・レンズ・プロジェクトの契約書と譲渡記録を持ってきてくれ」
心臓がどきりと跳ねた。最後の一滴まで飲み干すところを見たかったのに。彼の突然の要求は不意打ちで、私は何か口実をどもりながら口にすると、部屋から慌てて飛び出した。
アレクサンダーは私の奇妙な振る舞いに気づいた様子はなかった。
部屋の外から見ていると、彼は物思いに沈んでいた。十分ほど経つと、机の上のコーヒーはすっかり冷めてしまっていた。
彼はいつものように仕事に忙殺されていた。やがて、ケイリブに今夜は帰宅しないから先に上がるようにと告げた。
去っていくケイリブの背中を見送りながら、私は思わず口の端を吊り上げた。
私は化粧室に駆け込み、持参したランジェリーに着替えた。透けるストッキングに、ほとんど何も隠せないようなブレザーという出で立ちで、彼のオフィスへと戻る。
突然入ってきた私に、アレクサンダーは明らかにぎょっとしていた。彼が何かを言う前に、私はブレザーを肩から滑り落とし、ヒールを蹴り飛ばして、白い肌を空気に晒す。
ゆっくりと、意図的に、彼の方へと歩み寄る。
彼の机に目をやると、コーヒーカップは空っぽだった。完璧。仕事に夢中でコーヒーが冷めたことにも気づかず、それでも全て飲み干してくれたに違いない。
「お前……」
アレクサンダーの瞳に浮かんだ驚きは、私には欲望の色に見えた。妖艶に微笑んで彼に近づき、片手でその顔を撫でながら、もう片方の手は下へと滑らせる。彼の興奮の証を求めて。
さらに身を乗り出し、私たちの唇が触れ合おうとした、その瞬間――
アレクサンダーは突然身を引き、眉をひそめて尋ねた。「具合でも悪いのか?」
私は凍りついた。薬はもう効いているはずなのに。
この薬草は、アルファの人狼は言うまでもなく、ライカンでさえ発情させるほど強力なのだ。
もう少し時間が必要なのかしら?
どちらにせよ、目的を果たすまでここを去るつもりはない。
私は逸る気持ちを抑えた。彼に飛びかかるのではなく、一歩後ろに下がり、催眠術をかけるように腰を揺らして動き始める。
両手をゆっくりと自分の体に這わせ、胸から腰へ、そしてさらに下へと撫で下ろしていく。
同時に、潤んだ欲望に満ちた瞳でアレクサンダーを見つめ、絶えずフェロモンを放ち続ける。
彼が沈黙しているのを見て、そろそろ薬が効き始めたのだと私は思った。
獲物を狙う狩人のように彼の周りを巡り、時折体を擦り寄せたり、耳元で囁きかけたりする。部屋の空気は電気を帯びたように張り詰めていた。彼だって男だ――いずれは屈するに違いない。
しかし、私が再び身を寄せた瞬間、彼は力任せに私を突き飛ばした。その瞳には、紛れもない嫌悪の色が浮かんでいた。
不意を突かれた私は、よろめいて床に倒れ込んだ。
私は呆然とし、瞬く間に涙が溢れ出た。「アレックス、そんなに私のことが嫌いなの?」
「五年前のことは事故だった。それ以来、お前にはあらゆるものを与えてきた。だが……」アレクサンダーは無表情のまま上着を脱ぐと、私に投げつけた。「二度とこんなことはするな」
「アレックス、私、何年もあなたを愛してきたのよ。どれだけ想っているか、分からないの? どうしてチャンスをくれないの?」私はこの上なく哀れな姿で、泣きじゃくった。
五年間も尽くしてきたのだ。彼が私の気持ちを知らないはずがない。
しかし、アレクサンダーの表情は和らがなかった。
彼が何かを言いたげに喉を動かすのが見えたが、結局口から出たのは「家に帰る。お前も帰れ」という言葉だけだった。
彼の背後でドアがカチリと閉まるまで、私は冷たい床に打ち捨てられたままだった。やがて涙はすっかり乾き、その場所を激しい怒りが占めていた。
ジャック! あの裏切り者のクソ野郎、偽物の薬を渡しやがって!
そしてフレイヤ、あの幸運なアマ。いい気でいられるのも今のうちよ。あんたとの勝負は、まだ始まったばかりなんだから!
