チャプター 76

ルーク視点

浴槽は氷水でなみなみと満たされ、アレクサンダーは頭だけを残して完全にその中に沈んでいた。彼の体温は恐ろしいほど高く――普通の熱が到底及ばないレベルだった。人狼であるせいで、薬の効果はさらに強烈になっている。

俺は浴槽にさらに氷を放り込み続けた。氷は彼の灼熱の肌に触れた途端、瞬く間に溶けていく。強化された子狼《パップ》の感覚が、彼の苦痛が陽炎のように空気中を伝わってくるのを捉えていた。

『これは本当にまずいな』俺はもう一掴み氷を加えながら思った。『ティファニーはあいつにどれだけの量を盛ったんだ?』

「ルーク、彼、大丈夫なの?」と隣でリーヴァイが尋ね、その小さな手がアレクサンダーの額...

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