第107章

エルサ

医療センターの自動ドアをくぐると、消毒薬と薬品の無機質な匂いが鼻をついた。午前中はずっと選択肢を検討し、連絡先に電話をかけ、ドレイクが言っていた治療法について調べていた。

「クソッ」と、私は息の下で呟き、洗っていない髪に震える手をやった。睡眠不足と絶え間ない心配が、確実に私を蝕んでいた。

母はベッドで体を起こし、雑誌に目を通していた。肌の下を走る銀色の線は、今日はいっそう際立って見え、有毒な川のように首筋を這い上がっている。その光景に胸が締め付けられたが、私は無理に笑顔を作って近づいた。

「今日は顔色がいいじゃない」と嘘をつき、必要以上に強くバッグをベッド脇の椅子に置いた。

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