チャプター 113

エルサ

「馬鹿なことを」エイデンが遮った。その声色に、私の内なる狼が毛を逆立てる。「正式な乾杯には全員が参加せねばならん」彼はウェイターに合図し、すぐに新しいワイングラスが私の元へ運ばれてきた。「どうせ水よりはうまい」

逃げ場はなく、私はワインを受け取った。グラスの脚を握る指に力がこもりすぎて、折れてしまわないかと思うほどだった。ドレイクに疑問の視線を送りながら、皆と一緒にグラスを掲げる。彼の表情は読み取れない。だが、その瞳の奥が『飲むな』と告げているようだった。

「我々のパートナーシップに」エイデンが繰り返し、全員が口をつけた。

私は液体が唇に触れるか触れないかという、ほんのわずかな...

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