第120章

エルサ

ドレイクの唇が、殴りつけてやりたい衝動に駆られるような嘲りの笑みを形作った。「代わりにアレンがいいか? 残念だったな、あいつはおまえを突き放した。二度も」

彼が近づいてくる。狭い空間でその匂いが圧倒的に広がり、さらに頭がくらくらした。私の身体は裏切り者のように前へと傾き、彼のぬくもりを求めてしまう。

「近寄ら……ないで」情けなく声が裏返り、喘ぐように言った。けれど身体はもう私を裏切り、彼の方へとふらついている。引き離そうと彼の胸を弱々しく押しながらも、その感触を求めてしまっていた。「気安く……触らないで」

「おまえの身体は、自分が誰のものか分かっているさ、エルサ」ドレイクが囁き...

ログインして続きを読む