チャプター 201

エルサ

彼は私の抗議など完全に無視し、我が物顔で部屋に入ってきた。その香り――白檀と、荒々しいアルファの力が混じり合った陶酔を誘う匂い――が、瞬く間に狭い空間を満たす。頭がくらくらし、裏切り者の身体が勝手に反応してしまう。そんな自分自身への怒りが込み上げた。

電話は鳴り続け、その音はささくれ立った神経をさらに逆撫でする。画面をちらりと見た瞬間、切れたエレベーターのように胃がすとんと落ちた。ブルースだ。クソッ。最悪だ。

発信者名を目にしたドレイクが危険なほど目を細め、顎の筋肉がピクリと動く。「夜中に他の男からの電話に出るために、俺を部屋に入れなかったのか?」その声には非難の色が滲み出ていて...

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