第二十四章

エルサ

ピナクル・レストランの最上階にある個室は、趣味の良い落ち着いた色調でまとめられていた。中に足を踏み入れた瞬間、不安に喉がきゅっと締まるのを感じる。

ワトソン夫妻はすでに席に着いており、その姿勢は敵意に満ちて硬直していた。私が入ってくるなり、ワトソン夫人の目にはほとんど隠そうともしない怒りが閃き、獲物を追うようにその視線が私を追う。対照的に、ワトソン氏は冷徹なプロ意識という仮面を崩さない。

「ヘイルさん」と彼は言った。立ち上がる素振りも見せない。「我々との面会に同意いただき感謝します」

私は夫妻の向かいの席に腰を下ろした。椅子を引く際、必要以上に力を込めてしまったせいで、床と擦れ...

ログインして続きを読む