チャプター 42

エルサ

「なんだこれは?」奴は唸るように言った。ジャケットを汚物でも扱うかのように持って。

「ジャケットよ。外は寒いから」――反応するな。こいつを喜ばせるな。

「お前のじゃない」奴の鼻の穴が、深く息を吸い込むと同時に広がった。「ルミンのジャケットだ。奴の匂いがぷんぷんする」

取り返そうとしたが、ドレイクは手を伸ばしても届かないところにそれを掲げた。奴の支配的な態度に、私の中の狼が牙を剥く。縄張り意識の強いクソ野郎。私を欲しがっているわけじゃないくせに、他の誰かのものになるのも許さないのだ。

「ブラウスにワインの染みがついちゃったから、貸してくれたの。ただの親切よ」

ドレイクはわざと...

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