チャプター 46

エルサ

休憩室のドアノブに手を伸ばした瞬間、私はその場で凍りついた。ドレイクが声を荒らげて言い争っているのが聞こえたからだ。普段なら背筋に震えが走るほどの低い美声が、今は張り詰めていて、防戦一方に聞こえる。

「彼女は俺が選んだ人です、父さん。あなたの承認なんて必要ない」

マーカスの返事は、刃物のように鋭かった。「お前が選んだ? 言ってみろ、息子よ。ヴェラのどこが、お前の番としてふさわしいというのだ? あの腹黒い性格か? それとも、見せかけだけの従順さか?」

盗み聞きなんてすべきじゃない。これはドレイクと彼の父親の問題だ。それなのに、マーカスが声を危険な唸り声にまで落として続けると、私...

ログインして続きを読む