チャプター 51

エルサ

ドレイクの高級セダンのそばに立つ私の足音が、がらんとした地下駐車場に響く。手の中では、車の鍵を固く握りしめていた。

エレベーターのドアが開き、ドレイクが姿を現した瞬間、私の体は反射的にこわばった。明らかに風邪の症状があるにもかかわらず、非の打ちどころなく仕立てられたチャコールグレーのスーツを身にまとっている。近づいてくるにつれ、その金色の瞳が細められた。

「はい」私は鍵を握った手を差し出した。「車、返しておくわ。それと、風邪薬も。私はタクシーで帰るから」

ドレイクは紙袋に目をやり、唇をわずかに歪めた。「薬? またレモンエキスで俺を毒殺するつもりか、エルサ?」

私は身を固くした...

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