チャプター 90

エルサ

看護師たちが交代する微かな物音で、朝が来た。目を瞬かせると、不自然な姿勢で寝ていたせいで首がこわばり、痛んでいた。口の中はひどい味がした。看護師の一人が近づいてきて、優しい表情を向ける。

「ヘイルさん? お母様がお目覚めになって、あなたに会いたがっていますよ」

私は母の病室へ急いだ。ソフィアがすぐ後ろからついてくる。母は白いシーツの中で弱々しく見えたが、その目は私を捉えると澄んでいた。一夜にして縮んでしまったかのように小さく見える母の姿に、胸が締め付けられた。

「オリバーはどこ?」母はすぐに尋ねた。声はかろうじて聞き取れるほどの囁きだった。

喉が詰まる。私は母の視線を避け、袖...

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