第十四章

エレナ視点

再びドアが開いたときには、夜はすっかり更けていた。私は窓辺に佇んだまま、振り返らなかった。少し開いた窓から流れ込む冷たい空気が肌に心地よく、私の内も外も麻痺させていくようだった。

「何をしている?」

リチャードの声は怒りで尖っていたが、私の耳にはほとんど届かなかった。感覚は鈍く、まるで体から抜け出してどこかを漂っているかのよう。冷気は骨の髄まで染み渡り、私はそれを歓迎した。

不意に、力強い腕が私を抱え上げた。しかし、その感触さえも遠く、どうでもいいことに感じられた。リチャードは私をベッドまで運ぶ。その動きは、明らかな怒りとは裏腹に、驚くほど優しかった。

「肺炎にでもなるつ...

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