チャプター 162

エレナ視点

「エレナ、一体何をしてるの?」

エマが薬草の入った籠を手に、土手に立っていた。彼女の視線は、リチャードの足に置かれた私の手と、彼との間をせわしなく行き来する。

「本気なの?」彼女は続けた。「まさか、彼の足を洗ってあげてるわけ?」

恥ずかしさで顔がカッと熱くなるのを感じながら、私は説明しようとした。「エマ、これはそういうことじゃ――」

「本気でこれがうまくいくなんて思ってないでしょうね?」彼女は私の言葉を遮り、リチャードに向き直った。「忠告しておくけど、この男はそんな簡単に手懐けられるような人じゃないわよ」

私が反論する間もなく、リチャードはぴしゃりと足を引いた。彼の表情...

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