私の存在に恵まれて

サイラス

俺は熱い。物理的にだけじゃない。もちろん物理的にも熱いが、ここで言う「熱さ」は怒りで煮えくり返っているという意味だ。いや、番(つがい)が腹を立てて俺の車を燃やしている光景を見て興奮しているという意味の「熱さ」ではない……と言いたいところだが。クソッ、なんてわがままな女だ。だが、そこがたまらない。レイブンは誇らしげに俺のSUVを見つめて立っている。その豊かでカールした髪が風になびいている。他のシフターたちが車を動かし始め、誰かが消火しろと叫んでいるのが聞こえるが、俺にとって車なんてどうでもいい。

違う。俺が気にかけているのは、俺のファイアボールが俺を近づけようとしないくせに、離れる...

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