役に立たない (デュアルPOVチャプター)

セイン

「リトル・ウルフ」とのダンスは無邪気に始まったが、彼女の腰が俺の脚に何度か触れるうちに、俺の頭の中は彼女に対するかなり不埒な妄想でいっぱいになってしまった。

「ダンスの経験がないにしては、悪くないでしょ」

俺が彼女をくるりと回転させると、彼女は笑い声を上げた。俺はすかさず彼女を引き寄せ、耳元で囁く。

「ああ、上手だよ、リトル・ウルフ。お前を誇りに思う」

あんな辛い経験をした後に、こうして何かを楽しめていること自体が奇跡だという思いは、言葉には出さずに胸にしまっておく。

俺が彼女を強く抱きしめ、踊る姿を見つめながらその感触を確かめるように身をかがめると、彼女はさらに腰を揺らした。

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